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「回収率200%」の罠
— 派手な数字に騙されないための見分け方
読み終わるまで: だいたい10分
この記事のまとめ
- 「回収率200%」を本当に出せたら、運営者は予想を売らずに自分で賭ける
- 派手な数字には 5つのごまかし方 がある。順番に紹介
- 派手な数字を見たら、まず 「サンプル数・ブレ幅・hold-out」 の3点セットがあるか確認
- 当サイトは派手な数字を出さない。代わりに「賭式によっては赤字」とそのまま書く
本当に200%出せるなら、サイトを作る理由がない
まず素朴な疑問から始めたい。 ある予想サイトが「回収率 200%、月100万円稼げます」と書いていたとする。
仮にこれが本当なら、運営者は サイトを作って予想を売る必要がない 。 自分で 100万円賭けて、毎月 100万円増やせばいい。 年間 1200万円増、10年で 1.2 億円。億万長者で御座る。
わざわざユーザーから情報料を取ったり、サイト広告を出したり、面倒な作業をする理由がない。 それでもやっているのは、 「200%」が嘘か、本当でも続かないか 、どちらかしか説明がつかない。
本記事では、世の中の予想サイトが派手な数字を作るために使う 5つのごまかし方 を、順番に暴いていく。 殿の参考にして頂ければ幸いで御座る。
ごまかし方 1: 学習データ込みで成績を測る
AI予想は、過去のレース結果をたくさん覚えこませて作る。 このとき、 覚えさせたデータと同じデータで成績を測る と、当然いい数字が出る。
試験前に問題用紙を見せてもらった子供が、その問題で満点を取ったようなもの。 本当の実力ではないが、数字としては立派に「100点」と書ける。
AI業界では、これを 「過学習 (overfitting)」 と呼ぶ。 学習データには強いが、見たことのない新しいデータに弱い、という状態で御座る。
見分け方: 「2年分のデータで学習し、同じ2年で成績を測りました」と書いてあったらアウト。 「2年分で学習、 別の30日 で成績を測りました」が正しい書き方。 詳しくは 統計の話 をご覧頂きたい。
ごまかし方 2: 当たったレースだけ後から拾い上げる
1000レース予想して 100レース当たったとする。 このとき、 当たった100レースだけを切り出して 「100レース中100勝、的中率100%」と発表する手口。
残り 900レースの大量の負けは、こっそり集計から外す。 数学的には嘘ではないが、人を欺く意図があれば実質的な詐欺で御座る。
AI業界では、これを 「Look-ahead bias (ルックアヘッド・バイアス)」 または 「Selection bias (選別バイアス)」 と呼ぶ。 要は 「あと知恵で都合よく選んでる」 ということで御座る。
見分け方: 「過去半年で的中率90%」のようにキリのいい大きな期間が出ていれば、 その期間内の 全レースを集計に含めているか 確認したい。 「主要レース」「重要レース」など条件を絞った数字なら、選別バイアスが入っている可能性が高い。
ごまかし方 3: 都合のいい計算式を使う
回収率の計算式は 「払戻金 ÷ 賭けた額」 で求める。 普通はこれで全部のレースを通算する。
ところが、一部の予想サイトは 「当たったレースの中で平均を取る」 という奇妙な計算をする。 外したレースを分母から除外する、という手口。
例えば 10レース予想して 3レース当たり、当たった 3レースの平均配当が 250円だった場合:
- 普通の計算: 払戻金750円 ÷ 賭けた額1000円 = 75% (赤字)
- ごまかし計算: 当たり3件の平均配当 250円 ÷ 100円 = 250% (大儲け)
「平均配当」と「回収率」は 全く違う数字 なのに、わざと混同させて派手に見せる手口で御座る。
見分け方: 「平均配当 250円」のような書き方は要注意。 「100円賭けたら何円戻るか」 (回収率) と書いてあれば、まともな計算をしている可能性が高い。
ごまかし方 4: 期間を都合よく切り取る
競馬・ボートレースには、 絶好調の期間と絶不調の期間 がある。 AIモデルは長期的にはバラつきが小さくなるが、1週間〜1か月単位では結構ブレる。
このバラつきを利用するのが「期間切り取り」の手口。 1年間のうち、たまたま絶好調だった2週間だけを切り出して、「直近2週間で 200%」と発表する。 残り 50週の冴えない数字は表に出さない。
見分け方: 期間が 2週間〜1か月 だけの数字は注意。 直近 30日間 + 直近 90日間 + 直近 365日間と 複数の期間 が公開されていれば、信頼度が高い。
当サイトは「過去 30日」を主軸にしているが、これは 賭式によってサンプル数が十分溜まる単位 として選んだもの。 複勝なら30日で 300件以上、3連複なら 2000件以上のデータが取れる。短すぎず長すぎず、ちょうどいい単位で御座る。
ごまかし方 5: 信頼区間を見せない
回収率には 「ブレ幅」 がある。 「100円→ 105円」と書いてあっても、本当は「100円→ 95円〜115円のどこか」というのが正確な姿で御座る。
ブレ幅 (信頼区間 / Bootstrap CI) を見せないと、「105%」だけが独り歩きして「絶対 5%儲かる」と誤解される。 実際にはブレ幅の下が 100% を切っていれば、損する可能性も結構残っている。
見分け方: 「100円→105円」だけでなく、 「ブレ幅 95〜115円」 のような幅が併記されているか確認する。 幅がないサイトは、数字を派手に見せたい意図がある可能性が高い。
5つのごまかしを全部潰すと、どんな数字になるか
ここまで紹介した 5つのごまかしを全部潰し、 正直に計算した 場合、出る数字はどれくらいになるか。
答えは、 賭式によって違うが、概ね 90円〜120円の範囲 。 200%とか150%とか、そういう派手な数字には絶対にならない。
当サイトの 過去30日成績ページ を見て頂きたい。 記事執筆時点 (2026年5月) の数字は次の通り。
- 複勝 (2着以内) : 100円→ 110円台 (n=300件超)。ぎりぎり黒字
- 3連単 (1〜3着順番通り) : 100円→ 100〜120円のブレ幅 (n=80件超)。波が大きい
- 単勝 (1着) : 100円→ 95円前後 (n=60件)。 赤字
- 3連複 (1〜3着順不同) : 100円→ 60円前後 (n=2400件超)。 大赤字
複勝はかろうじて黒字、3連複は大幅赤字。 ご覧の通り、 「全部勝てます」とは口が裂けても言えない 数字で御座る。
実力を持ったプロが正直に運用している競馬・ボートレースの予想サイトは、 だいたいこの範囲の数字に収まる。 200%は 計算の前提を間違えているか、嘘 と思って頂いていい。
なぜ当サイトは正直に低い数字を出すのか
ここで素朴な疑問。当サイトは派手な数字で釣ることをしない。 じゃあ、なぜ正直に低い数字を出して、ユーザーが離れるリスクを取るのか。
答えは 長期的な信頼 、これだけで御座る。
200%と書いて短期的に集客できても、賭けた人は実際の結果と乖離してすぐ気づく。 「だまされた」と離れ、二度と戻ってこない。サイトの寿命は短い。
逆に、 「賭式によっては赤字」 と正直に書いて来てくださる方は、 現実的な数字を理解した上で来ている。期待値を間違えないので、長く付き合って頂ける。 少数でも長期で残る方を相手にする方が、サイトとして健全だと考えている。
これを当サイトでは 「Glass Box 戦略」 と呼んでいる。 中身が全部見える透明な箱、という意味で御座る。 詳しくは 「正直予想」とは何か をご覧頂きたい。
3点チェックリストで身を守る
最後に、予想サイトを見るとき毎回チェックして頂きたい 3点を再掲する。
- サンプル数 が公開されているか (30件未満は要注意、100件以上で輪郭)
- ブレ幅 (信頼区間) が併記されているか (1点だけでは半分の情報)
- 「学習に使っていない期間」 (Strict hold-out) で測った数字か
この 3点が公開されていない予想サイトは、 派手な数字に何かしらのごまかしがある可能性が高い 。 200%とか 90%とか書いてあっても、まず疑ってかかった方が損が少ない。
舟券は娯楽。無理のない範囲で楽しむのが鉄則で御座る。 のめり込みの兆候を感じたら 0570-783-849 (日本ギャンブル等依存症問題相談窓口) へ早めに相談頂きたい。 詳しくは 免責事項 をご確認頂きたい。